文部科学省の科学技術・学術審議会研究開発基盤部会は、「研究の創造性・効率性の最大化のための先端研究基盤の刷新に向けた方針」を公表した。本方針は、AI時代に対応した研究推進体制の構築を目的とし、全国的な研究設備の共用化と技術専門人材の育成を柱とする。
研究設備は科学技術イノベーションの基盤であり、計測・分析技術の進歩は最先端研究の進展と密接に関係している。世界的には、研究設備の共用・集約化、自動化・遠隔化、デジタル化が進み、研究の生産性向上に寄与している。一方、日本では研究設備の多くが個別研究室に分散しており、共用化のインセンティブ設計や老朽化対応が不十分である。加えて、海外製設備への依存が高く、導入の遅れや人材育成力の低下が課題となっている。
本方針では、全国の研究者が必要な設備にアクセスできる環境整備を目指し、「コアファシリティ・ネットワーク」と「装置分野ネットワーク」の構築を推進する。前者は地域性を踏まえた20〜30の拠点を中心に、汎用性の高い設備と人材を集約し、後者は最先端設備の分野別プラットフォームを形成する。両ネットワークは連携し、情報の一元化・見える化を進める。
また、研究設備の整備・運用計画を策定し、遠隔化・自動化を導入することで効率化を図る。競争的研究費の使途も見直し、設備購入から利用料・人件費への転換を促す。技術専門人材の育成・処遇改善も重視され、キャリアパスの構築や大学院教育の強化が盛り込まれている。
さらに、産学連携による新技術・試作機の開発と共用の場への導入を通じて、研究成果の創出と利用技術の汎用化を促進する。データ利活用については、国立情報学研究所の研究データ基盤(NII RDC)との接続を通じて、計測データの蓄積・標準化を進める。
本方針は、研究設備の整備・共用・開発を循環させる「研究基盤エコシステム」の形成を目指すものであり、研究力強化と国際競争力の確保に向けた戦略的な施策として位置付けられる。委員会は、産学官の連携による研究基盤の最適化と、研究者の創造性を最大限に引き出す環境整備の必要性を強調している。
情報源 |
文部科学省 報道発表
|
---|---|
機関 | 文部科学省 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 産学連携 | データ利活用 | 研究設備共用 | 技術専門人材 | コアファシリティ | 装置分野ネットワーク | 研究基盤エコシステム | 競争的研究費改革 | 自動化・遠隔化 | 研究DX |
関連ニュース |
|