北海道科学技術総合振興センターの幌延地圏環境研究所(幌延ライズ)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)および広島大学との共同研究において、北海道幌延町の深部地下環境から新種の水素生成細菌「Gaoshiqia hydrogeniformans Z1-71T株」を発見した。
研究グループは、地下250メートルの嫌気的環境から採取された地下水試料をもとに、培養・遺伝子解析を通じてZ1-71T株を単離した。この菌株を詳しく分析したところ、糖類を分解して水素やギ酸を生成する能力を持ち、2013年に同地域から取得されたメタン生成古細菌「Methanoculleus horonobensis T10T株」との共培養実験により、Z1-71T株が供給する水素や有機物をT10T株が利用してメタンを生成することが確認された。
本研究は、幌延の地下環境において、複数の微生物が共生的に機能しながらバイオメタンを生成している可能性を示唆するものである。特に、Z1-71T株のような水素生成細菌の存在は、地下におけるメタン生成の前駆段階を担う重要な役割を果たしていると考えられる。――研究グループは、この知見をもとに、今後の地下微生物資源の探索やバイオメタン生成技術の高度化に関する取り組みを続けるという。