大阪公立大学大学院情報学研究科の吉田大介准教授らの研究グループは、小型汎用ドローンとAIによる画像認識技術を組み合わせ、港湾岸壁のひび割れを自動で検出する新たなシステムを開発した。――港湾インフラの老朽化が進む中、特に地方自治体では、点検にかかるコストや人材不足が深刻な課題となっている。本研究は、こうした現場の制約に対応し、持続可能なインフラ維持管理の実現を目指すものである。
従来の港湾岸壁点検は、専門技術者による目視が中心であり、時間と費用がかかるうえ、点検精度にもばらつきがあった。これに対し、本システムでは市販の小型ドローンで撮影した画像から、歪みのない「オルソフォト」を生成し、独自の画像処理技術を用いて微細なひび割れを高精度に検出する。具体的には、画像をタイル状に分割して重ね合わせる「オーバーラッピング・タイリング法」や、画像の縮尺を変化させてAIの検出精度を高める「擬似高度スライシング法」を導入している。
本研究では、港湾岸壁の点検基準である3mm幅を大きく下回る1mm幅のひび割れも自動で検出可能であることが実証された。さらに、検出結果には正確な位置情報が付与され、GIS上での管理が可能となる。これにより、ひび割れの発生や進行を定量的に追跡でき、補修計画の科学的立案が可能となる。従来は経験に依存していた危険度評価を、データに基づく「アセットマネジメント」へと転換する技術的基盤が整ったこととなる。
本研究は、限られた予算と人員で広域インフラを管理する地方自治体にとって、実用性と経済性を兼ね備えた新たな点検手法を提供するものである。吉田准教授は、現場で「使える」技術の実装を重視したと述べ、今後はWebアプリケーション化を通じて、より多くの自治体への展開を目指すとしてい
情報源 |
大阪公立大学 最新の研究成果
|
---|---|
機関 | 大阪公立大学 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | アセットマネジメント | 港湾施設 | 深層学習 | 老朽化対策 | AI画像認識 | インフラ維持管理 | ドローン活用 | ひび割れ検出 | GIS連携 | 地方自治体支援 |
関連ニュース |