名古屋市は、国内初となる「グリーン/ネイチャーボンド」を発行する。これは、環境課題の解決や生物多様性の保全に資する事業に限定して資金を充当する地方債であり、SDGs未来都市としての取り組みの一環である。発行額は約50億円、年限は5年で、法人向けに販売される。主幹事はみずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券が務める。
本債券は、名古屋市が策定した「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」に基づいて発行される。同フレームワークは、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則2025」や「Sustainable Bonds for Nature: A Practitioner’s Guide 2025」などとの適合性について、株式会社日本格付研究所(JCR)による外部評価を取得済みである。取得予定の格付はMoody’sによる。
資金は、グリーン適格プロジェクトおよびネイチャー適格プロジェクトに充当される。グリーン適格プロジェクトには、再生可能エネルギー設備の導入、省エネルギー化、電動車や電気バスの導入、地下鉄車両の更新、焼却工場の設備更新、河川整備などが含まれる。ネイチャー適格プロジェクトは、希少動植物の保護・増殖を目的とした東山動植物園の再生整備などが該当し、昆明・モントリオール生物多様性枠組で掲げられた「ネイチャーポジティブ」目標の達成に資する。――充当予定事業には、瑞穂公園陸上競技場の改築、市立小学校体育館への空調設備導入、南陽工場の設備更新、東山動植物園の再生整備などが含まれる。これらの事業は、CO₂排出量削減、熱中症対策、生態系保全、有害物質排出削減などの効果が期待されており、同市はSDGsの複数目標(例:目標3、7、11、13、14、15)に貢献する取り組みであると訴求している。