国際協力機構(JICA)とエクアドル共和国政府は「ガラパゴス諸島化石燃料ゼロに向けたロードマップ支援プロジェクト」の実施内容に係る合意文書を取り交わした。ガラパゴス諸島はダーウィンが立ち寄った地として、1978年に世界自然遺産・第1号に登録された地として広く知られている。固有の生態系は保全すべきものであると同時に、世界の人々を惹きつける存在でもある。同国では最も重要な観光資源となっており、観光産業に関わる住民が増え、観光客数も右肩上がりで増え続けた。当然、エネルギー消費量も増加した。元来、化石燃料への依存度が高かったこともあり、電源構成ではディーセル発電が大きな割合を占めるようになった。こうした状況を踏まえ、同国政府は2007年に「ガラパゴス諸島化石燃料ゼロイニシアチブ」と名付けたプログラムを公表し、再エネ化・省エネ化の推進や地球温暖化対策を含む、ガラパゴス諸島の持続可能な開発に対する協力を国際社会に要請した。2023年に入り、先進国の具体的な支援が本格化した。米州開発銀行(IDB)が先陣を切り、ガラパゴス諸島の「エネルギー転換計画」、さらにエクアドル全土のエネルギー効率化計画の策定に対する支援を実施した。次いで、ドイツ復興金融公庫(KfW)が太陽光と火力からなるハイブリッド発電システムの現地供与を行い、フランス開発庁(AFD)は建設材料の省エネルギー化等に関する技術協力を開始している。本プロジェクトは、さまざまな再エネ資源のポテンシャルを確認するとともに、ディーゼルと再エネによるハイブリッド発電システムの最適化や、省エネ化実現に向けたロードマップの提案を行うもの。エクアドルの化石燃料ゼロ化政策に対するJICA初の支援となり、AFDの技術協力を補完する内容が盛り込まれている(開発計画調査型技術協力、総事業費:3億円、事業実施期間:2023.11~2026.10)。