信州大学物質循環学コースの岩田拓記准教授らの研究グループは、水深が比較的浅く、富栄養化が進行している諏訪湖において、一酸化二窒素(N₂O)の放出量が日内で大きく変動することを明らかにした。
N₂Oは二酸化炭素やメタンに次ぐ強力な温室効果ガスであり、陸水域からの放出量の正確な把握は、地球規模の温室効果ガス収支の評価に不可欠である。従来、N₂Oの放出量はガス採取と分析の手間から高頻度測定が困難であり、主に季節変動に着目した研究が中心であった。
今回の研究では、レーザー吸光式の最新分析計とフローティングチャンバーを組み合わせることで、リアルタイムかつ高頻度でのN₂O放出量の測定を実現。さらに、湖水中に溶存するN₂O濃度も同時に計測した。その結果、N₂Oの放出量は風速の増加とともに上昇する傾向が確認された。また、夏季に湖水が安定成層を形成し、湖底付近に蓄積されたN₂Oが混合によって表層に移動することで、放出量が変動することが示された。さらに、浅い湖では溶存酸素の変化によりN₂Oの生成と消費のバランスが日内で変動し、それが放出量に影響を与える可能性も指摘された。
研究グループは、「N₂Oの年間放出量を正確に推定するためには、日内変動を考慮する必要がある」と述べている。本研究成果は、学術誌『Inland Waters』に掲載された。
情報源 |
信州大学 トピックス
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機関 | 信州大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 温室効果ガス | 一酸化二窒素 | 溶存酸素 | 陸水域 | 地球温暖化対策 | 富栄養湖 | 放出量変動 | 成層構造 | フローティングチャンバー | レーザー吸光分析 |
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