兵庫県立大学、兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館、大阪公立大学、石川県ふれあい昆虫館らの共同研究グループは、日本産の水生甲虫および水生カメムシの参照DNA配列を網羅的に整備した。本研究では、環境DNA分析に必要なミトコンドリアDNAの16S rRNA領域の配列を決定し、兵庫・石川・福島・北海道の各研究機関に証拠標本として収蔵した(掲載誌:Zookeys)。
水生甲虫とは、水中や水辺に生息するゲンゴロウやガムシなどの甲虫類。一方、水生カメムシは、半翅目に属する水生昆虫群で、アメンボやマツモムシなど、身近な水辺で見られる種も含まれる。いずれも水田やため池などの止水環境に多く生息し、陸生の害虫とは異なる生態を持つ。外来種の侵入や農薬使用、開発の影響を受けやすく、水環境の指標生物としても注目されている。また、これらのグループには絶滅危惧種が多く含まれており、環境DNAによるモニタリングの精度向上が求められていた。
本研究では、日本産水生甲虫140種(亜種含む)、水生カメムシ58種(亜種含む)の配列を決定し、全体の35.5%、45.3%をそれぞれカバーした。属レベルでは甲虫72.0%、カメムシ70.5%を網羅しており、マルコガタノゲンゴロウやコバンムシなど、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種も含まれる。研究グループは、今回得られた配列情報は「環境DNA分析における水生昆虫の迅速かつ高精度な同定を可能にし、同種の保全施策の基盤として機能する」と述べている。
情報源 |
兵庫県立大学 プレスリリース
ひとはくの研究とは 大阪公立大学 プレスリリース |
---|---|
機関 | 兵庫県立大学 兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく) アクアマリンいなわしろカワセミ水族館 大阪公立大学 石川県ふれあい昆虫館 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | モニタリング | 絶滅危惧種 | 種の保存法 | 水生昆虫 | 環境DNA分析 | 水生甲虫 | 水生カメムシ | 参照DNA配列 | 証拠標本 |
関連ニュース |
|