福山大学生物科学科、東邦大学、兵庫県立大学の研究グループは、香川県小豆島におけるイノシシの侵入・定着過程を遺伝的解析により明らかにした。本研究は、島嶼域で深刻化する外来生物問題に対し、侵入経路の科学的理解を進めるものだ(掲載誌:European Journal of Wildlife Research)。
島しょ部に外来生物が侵入すると、農作物の被害や生態系の破壊など深刻な影響を及ぼす。こうした問題は世界各地で発生している。日本でも近年、イノシシが海を泳いで島に渡る事例が報告されているが、その実態は十分に解明されていなかった。
小豆島では2010年頃からイノシシの目撃や農作物被害が相次ぎ、四国本島からの侵入が示唆されていた。研究グループは小豆島、四国本島、本州のイノシシDNAを比較し、遺伝組成を解析した。その結果、小豆島のイノシシは本州とは異なる一方、四国本島と共通性を示し、四国から侵入したことが判明した。また、侵入個体は遺伝的に異なる二系統で、四国本島の内陸部でイノシシの個体数が多かったことが、複数の系統が小豆島に侵入する要因となったと考えられた。この知見は、島嶼域における獣害対策の科学的基盤を提供するものである。
研究者は、今後の管理方策において遺伝情報を活用した侵入経路の特定が重要であり、ひいては「島嶼域における大型哺乳類の獣害対策にとって有用な技術」だと述べている。
| 情報源 |
東邦大学 プレスリリース
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| 機関 | 福山大学 東邦大学 兵庫県立大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 瀬戸内海 | 外来生物 | 生態系保全 | 遺伝解析 | 農作物被害 | DNA分析 | 侵入経路 | 島嶼域 | 獣害対策 | 系統分化 |
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