環境省は、令和5年度「大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査(以下『調査』)」などの結果を公表した。同省は、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和48年法律第111号)に基づき、地域住民の健康状態と大気汚染の関係を継続的に把握するため、平成8年度から毎年度「環境保健サーベイランス調査」を実施している。今回、令和5年度の調査結果とともに、令和3年度「大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査局地的大気汚染濃度を考慮した調査結果(以下『解析』)」を公表した。
公害健康被害の補償等に関する法律(略称:公害健康被害補償法)の昭和62年改正では、"相当範囲にわたる著しい大気汚染の影響により、慢性気管支炎・気管支ぜん息・ぜん息性気管支炎・肺気しゅ及びその続発症が発生していた地域(第一種地域)の指定が解除された。しかし、その後も、ぜん息など呼吸器疾患と大気汚染の関連性を検証する必要性が指摘され、SO₂やSPMは低濃度で推移し、PM2.5も減少傾向にあるものの、「NO₂・NOX」は都市部で依然として注視すべき物質となっている。
今回公表された令和5年度調査では、全国34地域の3歳児約7万1千人、35地域の6歳児約7万5千人を対象に単年度解析、経年解析、統合解析を実施した。SO₂とぜん息の関連でオッズ比1.14(95%信頼区間[1.05-1.23])と統計学的有意差が確認されたが、他の物質では一貫した傾向は認められなかった。追跡解析ではNO₂およびNOXで発症率が高まる傾向がみられ、オッズ比も有意であった。一方、令和3年度「解析」では、NOX濃度とぜん息有症率に有意な関連は確認されなかった。
同省は、今後も地域特性を踏まえた長期的観察を継続し、「屋外濃度推計モデル」の精度向上を図る方針である。なお、当該モデルの再現性には課題があり、自動車排出ガス測定局で推計値が過小となるケースが報告されているため、補正方法や排出量推計の改良が検討されている。
| 情報源 |
環境省 報道発表資料
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|---|---|
| 機関 | 環境省 |
| 分野 |
健康・化学物質 |
| キーワード | 大気汚染 | PM2.5 | ぜん息 | NOX | 追跡解析 | SO₂ | 環境保健サーベイランス | NO₂ | 局地的大気汚染 | 屋外濃度推計モデル |
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