環境省は、日本国内におけるヒアリ探知犬の育成試行事業を開始する(実施期間:令和7年12月~令和8年秋頃まで)。参画事業者として(一社)全日本犬訓練士連合協会と(有)関空ペットを選定し、育成段階ごとの訓練内容や必要な能力、注意点を整理し、将来的に活用できる「ヒアリ探知犬育成マニュアル(仮称)」を作成することが目的だ。
ヒアリは南米原産の外来種で、強い毒を持ち、人や生態系に深刻な影響を及ぼすため、国内侵入防止策の強化が急務となっている。既存の防除手法に加え、匂い識別能力を活用する「探知犬(detection dog)」は、港湾など広域での早期発見に有効とされる。海外では既にヒアリ探知犬が実用化されており、日本でもその技術導入が検討されてきたが、国内での育成方法は確立されていなかった。
今回の試行では、国内で探知犬の育成・運用実績を持つ事業者が、1事業者につき1~2頭の探知犬を対象に、室内・屋外でヒアリの匂いサンプルを使った訓練や港湾での実践的訓練を行う。さらに、講習会や個別面談による技術指導を受けながら、育成プロセスを検証する。環境省は、匂いサンプルや訓練機会の提供、育成方法に関する助言を行い、事業者と協力して育成段階ごとのノウハウを整理する。