(独) 国立環境研究所の遠嶋康徳大気動態研究室長らは、沖縄県波照間島及び北海道落石岬で採取された大気試料の精密分析によって、両観測点における大気中の酸素濃度が季節変化を伴いながら年々減少してゆく様子を明らかにした。さらに、観測された酸素濃度の減少量に基づいて大気・海洋・陸域生物圏の間のグローバルな炭素収支を計算した結果、1999年から2005年の6年間に大気中に放出された化石燃料起源の二酸化炭素のうち30%が海洋に、14%が陸域生物圏に吸収されていることがわかった。海洋や陸域生物圏が大気中の二酸化炭素を今後も吸収し続けるかどうかは、将来の大気中二酸化炭素濃度を予測する上で非常に重要な問題であるが、今回の解析結果は、米国の研究による1990年代の炭素収支計算結果とほぼ一致するもので、2000年代前半においても引き続き海洋・陸域生物圏の吸収が続いていることがわかった。