(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、長崎県の福江島において、大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度を通年測定し、大気環境基準が設定された2009年9月9日からの1年間のデータを解析したところ、大気環境基準を満たしていないことを明らかにしたと発表した。PM2.5は、大気中に浮遊する粒子状物質のうちサイズが2.5ミクロンより小さいものを指し、大きな粒子よりも気管を通過しやすく、ぜんそくや気管支炎などの健康被害の原因となりうることが指摘されている。従来、局地的な汚染が進行している都市域では、基準超過が指摘されていたが、局地的な汚染のない離島地域でのPM2.5濃度がどの程度であるか分かっていなかった。同機構によると、観測を行った福江島における局所的な汚染の影響は少ないこと、微小粒子物質が高濃度で観測された日は黄砂測定日とは合致しない場合が多いこと、同時に高いブラックカーボン(黒色炭素、すす)粒子濃度が記録されたことから、大陸からの越境大気汚染の関与が示唆されるという。