(独)物質・材料研究機構、(独)産業技術総合研究所などの研究チームは、千葉県南房総市内で採取された鉱物が、天然ガスを含む新鉱物であることを突き止め、『千葉石』(学名チバアイト)と命名した。『千葉石』は、水晶と同じシリカ(二酸化ケイ素)を主成分とするが、ケイ素原子と酸素原子から構成された『かご』状の結晶構造を持ち、『かご』の内部にメタン、エタン、プロパン、2-メチルプロパンの4種類の炭化水素分子(ガス分子)を含んでいる。この結晶構造は、同じく『かご』状の構造を持つ天然ガスハイドレート中の水分子を、ケイ素と酸素で置き換えた構造に相当し、主成分にメタンを含む鉱物としては世界で2例目の発見である。この鉱物は、熱分解起源の天然ガスハイドレートと同様、地層深部で炭化水素分子を結晶構造(『かご』)の中に捕獲(記録)したものと見なすことができるため、エネルギー資源として注目されている天然ガスハイドレートの起源や、プレートテクトニクスに伴う地球規模での炭素循環を解明する上で、新たな物証となる可能性があるという。