東京大学大学院工学系研究科の染谷教授や関谷准教授らは、世界最薄・最軽量の有機太陽電池を作製することに成功した。有機半導体を用いた太陽電池は、印刷技術によって薄くて柔らかいフィルム上に容易に製造できるため、大面積・低コスト・軽量性を同時に実現できると期待されている。しかし、ガラス基板上と同程度の高エネルギー変換効率を実現することが難しく、その解決策が求められていた。今回、研究グループは、有機溶剤にp型半導体とn型半導体をブレンドして溶解したインクを用いて、厚さ1.4マイクロメートルという極薄の高分子フィルムに、有機半導体薄膜を均一に形成する技術を開発し、世界で最薄かつ最軽量の有機太陽電池を作製することに成功した。同電池は、単位重量あたりの発電量が、様々な太陽電池のなかで最も高く(1gあたり10W)、曲げ半径35ミクロンに折り曲げても、エネルギー変換効率4.2%を維持しつつ壊れないのが特長。さらに、同電池を応用して、300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しない伸縮自在な太陽電池を実現した。今後、携帯用情報通信機器への応用や、身に着けても重さを感じさせないヘルスケアや医療用デバイス用など、新たな用途拡大が期待されるという。