アメリカ国立科学財団(NSF)のマクロシステム生物学プログラムの資金を受けた研究者らが、研究結果をアメリカ生態学会誌の特別号に発表した。これは、気候や土地利用の変化が生物や生態系に及ぼす影響を、広域あるいは大陸規模で研究するもの。従来、生態系の研究は、主に狭い範囲のサンプリングと衛星リモートセンシングによっていた。しかし、気候変動や侵略性外来種など、過去に経験のない規模で広がる複雑な問題に取り組むには、多くの生態系の膨大な量と種類の「ビッグデータ」を分析する必要がある。すでに大学等の小規模研究から、政府の資源モニタリング、フィールドセンサーの観測データ、高解像度の衛星画像まで、長年にわたって膨大なデータが蓄積されており、それを扱うスーパーコンピュータ、統計モデルや地理情報システム(GIS)など、以前はなかったツールも整ってきた。特別号編集に当たった科学者らは、今後はこうしたデータ集約型生態学に必要なデータベース管理、データマイニング、GISなどの専門家もチームに参加する必要があるとしている。