イギリスとドイツの合同研究チームが、北極の海底で活動中のメタン層を発見した。バーミンガム大学のウェストブルック教授率いる研究チームは、地震探査装置やソナーシステムを用いた探査により、スヴァールバル西岸の沖合で250本以上のメタンプリューム(海底から湧き出るメタンガスの泡の柱)を見つけ、その付近にメタンハイドレート層を発見した。メタンの多くは海底下のメタンハイドレート層の中に閉じ込められており、温度の上昇や圧力の低下により水中に湧出している。北極のこの海域でのメタンプリュームの発見は初めてで、温室効果ガスのメタンが、気候の変化に敏感な地域で、約1万5000年前(最後の氷河期)から湧出していた証拠になるという。また、地層中の化石を分析すると過去の気候の変化が分かり、さらに、気候の変化に伴う水温や水深の変化に対応して、メタンが湧出した速度や量を解明できる。これにより、将来の温暖化が、北極海底下のハイドレート層に及ぼす影響の可能性を評価する手段も得られるという。