イギリス自然環境研究会議(NERC)は、過去30年間にわたる北極の海氷面積の変化が同地域の海洋生態系に及ぼす影響についての研究に1600万ポンド拠出すると発表した。北極地域は他の多くの地域よりも急速に温暖化が進んでおり、衛星観測では北極の海氷面積は1980年以降に約40%減少したことが確認されているという。海氷の減少で北極の海洋生態系が変化すると、環境だけでなく、漁業や観光業などのイギリスの重要産業にも悪影響が及ぶことが懸念されている。こうした中、今回募集する研究では、イギリスおよび国際的な調査船や自律型調査機などの極地調査設備を用いて、海氷面積の減少が海洋生態系と生物地球化学にもたらす影響を分析する。それにより、将来起こり得る変化を予測し、影響の緩和と適応の戦略を立てられるようにするという。なお、この研究分野は、NERCの新しい戦略的研究選定プロセスの下で資金を受ける初の分野になる。この新プロセスでは、研究分野の優先順位を決める際に、環境科学者に従来よりも大きな役割が与えられているという。