大気中CO2濃度の季節的変動が大きくなっていることに、農業生産性の向上が大きく寄与しているという研究結果を、アメリカを中心とする2つの研究チームが発表した。植物は生長の盛んな夏季に大気からCO2を多く吸収し、生長が止まり分解する冬季には放出するので、大気中CO2濃度はこれに合わせ増減する。しかし過去50年間にこの増減幅は急速に増大しており、その理由は、温暖化による植物生長期の長期化や高緯度地域の緑化だけでは説明できなかった。メリーランド大学の大気学者らは、陸域炭素循環モデルVEGASにCO2濃度データや各国の作物生産量統計を組み合わせ、「緑の革命」(灌漑、化学肥料、高収量品種作物の導入など)による農法の変化が、大気中CO2の増減幅の拡大につながることを突き止めた。1961年から2010年にかけて主要作物の作付面積は20%増えただけだが、作物の生産量は3倍に伸びており、これが炭素循環を拡大したという。一方、ボストン大学を中心とするチームは、トウモロコシなど主要作物の世界の生産量データ等を分析し、増大したCO2濃度の季節変動の4分の1までが、1961年以降の農作物の生産量増大によることを導き出した。