アメリカの古海洋学者らは、現在のような急速な海洋酸性化は過去3億年に例がないとする論文を発表した。今回の研究で、科学者らは過去3億年の古海洋環境について既存の研究をレビューした。その結果、海に今日のような変化があったのは5600万年前の暁新世・始新世境界の温暖化極大期(PETM)のみであることが判明したという。PETM期には約5000年の間に大気中の炭素濃度が倍増(1800ppm)し、海洋酸性化はpHで0.45程度低下したとされ、当時の底生有孔虫の種の半分は絶滅し、食物連鎖の上位の生物も多く絶滅したと考えられる。これに対し、最近の海洋は100年でpH値0.1低下と、PETM期の10倍以上の速さで酸性化が進んでおり、IPCCの予想では、2100年までにさらに0.2低下してpHは7.8程度になるという。これまでの調査で、pH7.8の状態にある海底噴泉口付近の海域では、サンゴ礁の生物多様性と再生が損なわれていることがわかっており、今後の生物絶滅が危惧されている。
情報源 | アメリカ国立科学財団(NSF) プレスリリース |
---|---|
国・地域 | アメリカ |
機関 | アメリカ国立科学財団(NSF) |
分野 | 地球環境 自然環境 |
キーワード | CO2 | 地球温暖化 | アメリカ国立科学財団 | NSF | サンゴ礁 | IPCC | pH | 古海洋 | 絶滅 | 海洋酸性化 |
関連ニュース |
|