国連環境計画(UNEP)は、国際小島嶼開発途上国年(2014年)の終了にあたり、「小島嶼開発途上国(SIDS)の生態系サービスの価値評価ガイダンスマニュアル」を公表した。このマニュアルは、世界の52のSIDSでは自然環境と経済との相互依存性が特に高いことを指摘し、ミクロネシア連邦では水産業がGDP(国内総生産)の10%を、カリブ海の島国グレナダではナツメグやカカオ等が輸出品の52%を占める等の例を挙げる。また、生態系サービスが人間にもたらす価値を明らかにすることの重要性を強調し、様々な評価手法の例を数多く示した。UNEPはこのマニュアルが、従来の経済的意思決定の枠組みに生態系サービスを反映させ、SIDSの持続可能な開発を促す重要な手段になるとしている。UNEPの2014年発行「SIDS展望報告書」では、気候変動の影響がSIDSの持続可能な開発の最大の懸念事項であるとし、例えば海面水温上昇によるサンゴ礁減少で世界の経済損失は20年間で11兆9000億ドルに上り、その打撃は特にSIDSが被るとしている。