国連気候変動枠組条約は、2013~2015年レビューでの専門家との対話の結果をまとめた報告書を公表した。このレビューは、各国政府からの要請を受け、70名以上の専門家と締約国とが直接対話して実施されたもので、「温室効果ガス濃度を気候系に危険な変動をもたらさないレベルに安定させる」という条約の究極目標に照らし、気温上昇を2℃未満に抑えるという現在の長期目標が妥当かどうか、長期目標達成に向けた全体としての進捗状況、および長期目標をより厳しいものに変更すべきかどうかが検討された。結論としてまとめられた10項目の主要メッセージでは、気温の上限で規定した長期目標は妥当であり、2℃未満という目標は厳密に守らなければならない上限であるとされている。また、重大な気候影響はすでに発生していること、この長期目標の達成はまだ可能だが、それには抜本的な変革が必要で、世界はまだ目標達成につながる道筋に届いていないこと、長期目標の妥当性評価には地域レベル・地方レベルの評価と判断が必要なことなどが指摘されている。