国連環境計画(UNEP)とブラジル環境省は、水銀のリスクを管理する新たな研究プロジェクト「水銀に関する水俣条約の推進―ブラジルでの初期評価」を開始した。このプロジェクトは、水銀および水銀化合物の排出から人間の健康や環境を守るための科学的・技術的な知識をブラジルの主要な利害関係者に提供し、水俣条約の批准と早期実施を促すものである。水銀は甲状腺や肝機能、視覚、記憶の障害など人体に深刻な影響をもたらし、特に胎児や幼児の発達にとっての脅威となる。ブラジルは化学製品分野で世界第7位の経済規模を有しているものの、水銀に関するデータは乏しく、また電球などに含まれる水銀や水銀廃棄物の収集や分別保管の経験も不足している。シュタイナーUNEP事務局長は「この共同プロジェクトによって、水や土壌への水銀の排出が一層定量化され、さらに水俣条約に従って水銀の使用を段階的に削減することが可能になる」と語った。同プロジェクトは、総額250万ドルをかけ2年以内に完了する予定である。