2013年10月10日、有害な重金属である水銀の使用を規制する国連条約が採択され、署名のために開放された。2009年に国連環境計画(UNEP)主導で始まった140以上の国々による交渉が実を結び、水銀の段階的使用廃止に向け、世界的な一歩が踏み出された。新条約は20世紀半ばに水銀汚染による深刻な健康被害を経験した日本の水俣市にちなんで「水俣条約」と名付けられた。条約の対象は広く、体温計などの医療用製品や蛍光灯、スイッチ、石鹸や化粧品に含まれる水銀、金鉱業やセメント業で使われる水銀、石炭火力発電所や工業用ボイラー、精錬所などの大型施設からの水銀排出など。新条約の採択にあたり、アヒム・シュタイナーUNEP事務局長は、水銀を用いた金採掘に携わる金鉱夫とその家族、北極圏の人々、母親や乳児、将来世代まで「世界の誰もがこの条約の恩恵を受けることになる」と喜びを語っている。条約は3~5年後に発効する見通しであり、それまでの活動資金は日本、ノルウェー、スイスが拠出を約束している。