南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)は、南極の太平洋側にある海域「ロス海」を海洋保護区(MPA)に指定することが決まったと報告した。ロス海MPAは155万平方キロメートルに及ぶ世界最大のMPAとなり、的確な保全・生息地保護・生態系モニタリング・漁業管理のために全体の72%で漁業が禁止されるが、その他の海域では学術研究用に魚類やオキアミの採取が一部認められる。ロス海域のMPA化は2011年に提案され、2012~2015年までの毎年、基礎データや境界線の位置などの検討を重ねた結果、全加盟国の合意が得られたという。公海のMPAとしては2009年に世界で初めて指定された南大西洋のサウス・オークニー諸島南海域に次ぐ2番目のMPAとして、2017年12月に正式に発足する。MPAは、生物多様性、海洋生物の生息地、採餌や幼生の生育場所の保護と、歴史的・文化的な意義のある場所の保存を目的とする。漁業資源の回復に役立つほか、生態系の変化の観測などの科学的研究に利用することで、海洋の生態系の理解や生物多様性の維持につながることが期待される。