欧州化学物質庁(ECHA)は、REACH規則に基づく化学物質評価の年次進捗報告2017年版を公表した。ECHAは今年度の報告に過去10年の総括も加え、化学物質の安全性情報は改善しているがまだ不十分だとまとめている。ECHAは2008年の登録開始以降、10年間で1,952件の登録書類(ドシエ)における規則の遵守状況を審査してきた。その多くで、重要な安全性情報、特に出生前発生毒性、変異原性または遺伝毒性、生殖毒性、水生生物への長期的毒性に関するデータが不足しており、ECHAが登録者に送った情報請求は全体で2,586件に上った。2017年に関しては、222件の登録の遵守状況を審査した。そのほとんどは懸念物質と疑われる化学物質の登録であり、安全な使用を立証するために不可欠な追加情報をECHAが要請した例は151件あった。このほか報告では、登録ドシエを最新の情報に照らして更新するなど、登録者に対するドシエの改善と最新化の方法を推奨事項として挙げている。