世界気象機関(WMO)は、全球大気監視(GAW)計画の30周年記念シンポジウムを、欧州地球科学連合(EGU)総会の期間中に開催した。約100か国が参加するGAW計画は、大気組成と変化に関する地球規模の知識基盤構築をめざして開始され、ローカルからグローバルな規模での観測、高精度で影響力の大きい科学の推進、社会にとって意味のある大気関連情報製品・サービスを共同で生み出す活動を行ってきた。シンポジウムでは30年間の活動を振り返り、大気組成の研究が気候、気象予報、人の健康、農業生産性、食料安全保障などにとって重要であることを再確認するとともに、研究を社会的サービスの形に変換するニーズに一層応えていく姿勢が強調された。GAW計画が実施する温室効果ガス、エアロゾル、オゾン層などの観測結果は、WMOの「温室効果ガス年報」や国連環境計画(UNEP)との共同報告書などで公表され、政策立案者など広範な利用者に、大気に関する信頼できる科学的情報を提供している。