フィンランド環境研究所(SYKE)の科学者らは、北極圏の温暖化は藻類の一次生産に大規模で複雑な影響を及ぼすとする研究成果を発表した。この研究では、海氷の小さな隙間に生息する藻類の数理モデルを気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候モデル(特段の対策のない自然体ケース)と組み合わせ、2100年までの変化を予測した。それによると、温暖化によって北極海氷の融解時期が早期化し、汎北極圏で海氷藻類の一次生産は21世紀中に52%高まるという。しかし、藻類ブルームの時期と規模の変化は緯度によって異なり、北緯65度以南では藻類ブルームの時期は数ヶ月規模で早まり、北緯66~74度では藻類ブルームの時期は早まるが一次生産に大きな変化はなく、北緯75度以北では一次生産は2000%以上増加する可能性がある。藻類は動物性プランクトンの主な餌となり、動物性プランクトンは食卓にも届けられる魚類の餌となる。北極圏の海洋食物網は小規模で生物多様性が低いため、こうした藻類の一次生産の変化は生態系に著しい影響を及ぼすとみられている。
情報源 | フィンランド環境研究所(SYKE) プレスリリース |
---|---|
国・地域 | フィンランド |
機関 | フィンランド環境研究所(SYKE) |
分野 | 地球環境 自然環境 水・土壌環境 |
キーワード | 北極圏 | 気候モデル | 藻類 | 温暖化 | 政府間パネル | フィンランド環境研究所 | 動物性プランクトン | 北極海氷 | 藻類ブルーム | 海洋食物網 |
関連ニュース |
|