中国科学院(CAS)は、2020年1月に噴火を開始したフィリピンのタール火山の噴火がより活発になると、エルニーニョ現象が起きる可能性が高くなり、より激しい極地渦を発生させて、ユーラシア大陸全体の気温上昇につながる可能性があることを明らかにした。従来の研究では、コンピュータシミュレーションによって予測する噴火に伴う気候への影響と、実際の観測結果の間には乖離があった。同研究では、グリーンランドと南極大陸の氷床コアから採取し、分析した過去1,100年間にわたる世界的規模の火山噴火に関するデータを地球全体の気候モデルに入力することで、タール火山の噴火が気候に与える影響を予測した。これにより、もしタール火山の活動が現在の穏やかな状態から活発化し、火山爆発指数が“中程度”に達した場合、2020~2021年の冬にエルニーニョ現象が起こる可能性が高くなるという結果が得られた。