地球温暖化が進むと、砂漠の土に含まれる窒素分が失われ、さらに植物が育ちにくくなるおそれのあることがコーネル大学の研究者によって明らかにされ、研究成果がサイエンス誌に掲載された。乾燥地の生態系では、水に次いで、窒素が生物の活動の制約条件となる。今回、アメリカ南西部のモハーベ砂漠で、土壌から排出される窒素酸化物やアンモニア等を測定したところ、気温が40~50℃になると、窒素がガスとして急激に排出されることが分かった。これまで砂漠での窒素の収支バランスは解明されておらず、土壌中の微生物が窒素ガスを排出するメカニズムが重視されてきたが、それを上回る影響力があるという。気候変動で気温が上昇し、降雨パターンが変わると、失われる窒素の量が増加するおそれも指摘されている。なお、現在、多くの気候変動モデルでは、土壌から排出される窒素ガスについて、生物学的な側面しかとらえていないが、今後は気温上昇による排出の影響についても考慮する必要がありそうだ。