中国科学院(CAS)は、浅い湖が富栄養化しやすい原因に関する調査成果を発表した。同院南京地理湖沼研究所の研究チームは、欧州とアメリカにある面積0.5km2以上の1,151の湖を分析し、湖沼の形態と地域の社会生態系が、どのように相互作用して人為的富栄養化に対する湖沼の感受性に影響を与えているかを調査した。浅い湖は平野や低地にあり、農業や都市開発などによる影響が大きく、排水路が発達しているため、大量の栄養塩が流入する傾向にある。また、深い湖と比較して容積が小さく、流入した栄養塩を希釈する能力が弱いことが多い。一方、深い湖は森林などの中にあり、人為的撹乱の程度が低く、栄養塩の流入が制限されている高地に集中していることが多い。浅い湖は水質悪化や富栄養化のリスクが高い上に、深い湖に比べて修復が困難である可能性もあり、特別な注意を払う必要がある。同研究は、世界的な湖沼の保護・修復の推進に貢献することが期待される。