中国で、絶滅危惧種であるシフゾウの野生個体数が回復していることを、江蘇省大豊自然保護区の責任者が明らかにした。シフゾウは中国原産のシカ科の一種で、約100年前に野生個体がほぼ絶滅。また、飼育下にあった個体数(およそ300弱)も、1900年の8カ国連合軍による北京入城の際に大半が殺され、残ったものは海外に持ち出された。その後、1985~86年にイギリスから61頭が中国に返還され、1986年には、黄海に面した江蘇省大豊の広大な湿地に、世界初かつ最大のシフゾウ自然保護区が設置された。飼育下では短期間で個体数を増やすことが不可能であることから、同保護区では1998年に8頭を野生に放ち、その後も自然に帰す試みを続けた。その結果、2010年7月には野生個体数が156頭まで増加した(飼育下個体数も含めた総数は1618頭)。すでに3世代目の野生個体も誕生していることから、野生復帰は成功、と中国科学院の動物研究所は評価している。