イギリスのサウサンプトン海洋学センターを中心とする研究チームは、ヨーロッパ海域における海洋酸性化の影響調査を行うため、初の調査航海に出発した。調査航海は、調査船「ディスカバリー」により、イギリス諸島沿岸と7ヶ国の領海を含むヨーロッパ北西部の海洋で、2011年7月11日まで行われる。研究チームを率いるトビー・ティレル博士(サウサンプトン大学)によると、人間活動が排出するCO2により海洋の酸性化が起きているが、その影響は十分解明されていないという。調査では、海洋生物と生態系、海洋の炭素循環と栄養循環および気候に対し、海洋の酸性化がどのように影響しているか調べる。具体的には、1)海水のpH差による海表面の微生物分布状況の調査、2)汲み上げた海水を、さまざまな濃度のCO2(予測される将来の大気中濃度に相当)にさらした場合の、海水と海中微生物の変化の観察、3)深海サンゴへの影響調査、の3つの方法で調査を行うという。