アメリカ海洋大気庁(NOAA)などアメリカとカナダの科学者らによる研究チームは、海洋観測ブイ「アルゴフロート」を使い、海洋酸性度の遠隔監視が可能になるとの研究成果を発表した。このチームは、過去5年間に観測船で収集したデータから、海水の温度、溶存酸素濃度、酸性度(pH)、全炭酸量(CO2)の関係を決定する新たな手法を開発。これを応用し、アルゴフロートで収集した水温と酸素量のデータから海洋酸性度を算定することが可能になった。アルゴフロートは、国際的な観測ネットワークによって世界中の海におよそ3000個が配備されている。自動昇降式で、海流に乗って漂流しながら水深3000~6000フィートの水柱を上下し、水温、溶存酸素濃度、塩分濃度ほかのデータを収集後、人工衛星を介して陸上へデータを送信することで、海洋観測船によるモニタリングを補完する。CO2が海洋に吸収されることで起きる海水の酸性化は、サンゴや貝のような炭酸カルシウムの殻を持つ生物に悪影響を与えるため、NOAAの科学者らは、引き続き海洋酸性度の監視と生物への影響調査を行うとしている。