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 地球温暖化による植物の成長促進効果は長期的に持続しないと、アメリカの科学者らが報告

発表日:2012.04.10


  アメリカ・北アリゾナ大学の科学者チームは、温暖化による植物の成長促進効果は一時的で、長期的には持続しないとの研究結果を発表した。これまで、温暖化すれば、植物の成長に不可欠な栄養素である窒素の循環が早まり、植物の生産性が持続的に向上するという説があったが、今回の10年間にわたる研究結果によると、成長は最初の1年間は促進されたものの、その後の9年間は低下したという。研究では、アリゾナ州の草原植生を標高によって4段階に分類し、それぞれの植生を、温暖化する環境に見立てて標高の低い草原へと移植したのち、気温と降水量の条件を組み合わせて観察した。その結果、“温暖化”が10年持続した状態では、固有種の植生が消え、高温環境に強いが生産性の低い植生に変わったという。これは、より温暖な環境では窒素循環が早まるが、それが窒素の大気中への放出や降雨による流出等を増大させるためだという。こうしたことから、短期間の観察や人工的な生育環境(温室等)での観察からでは予測できない、温暖化の植生に対する長期的影響を考慮することが重要であると研究チームは警告している。

情報源 国立科学財団(NSF) プレスリリース 
国・地域 アメリカ
機関 国立科学財団(NSF)
分野 地球環境 自然環境
キーワード 地球温暖化 | NSF | 植物 | 固有種 | 窒素 | 生産性 | 草原 | 国立科学財団 | 成長 | アリゾナ州
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