世界資源研究所(WRI)は、「世界水週間」のサイドイベント「水質の確保と食糧安全保障の両立:栄養塩類の問題」において、水系汚染を防ぎつつ農業生産を向上させる方法を提案する。世界人口の増加に伴い食糧需要が高まる中、農業生産の向上が必須だが、一方で、農地への過剰な施肥や、畜産業における有機性廃棄物の管理不足によって、近隣の水域に栄養塩類が流出するなど、農業活動は水系の汚染やデッドゾーン(貧酸素水域)の要因ともなっている。WRIでは、農業汚染を抑制するためには、総合的な水質管理戦略が必要であるとし、これには、農業への技術支援(水質の保全、浸食の抑制、家畜糞尿の管理、有機農業への転換など)が有効だとしている。これは農業生産と環境保全の双方にとって重要で、農業生産の強化と並行して行われる必要があるという。また、政策手段としては、規制の設定、農業税や手数料の導入、クロス・コンプライアンス、水質取引プログラム、グリーンペイメント(環境保全への補助金や生態系サービスへの支払)の5つを提案している。