(独)国立環境研究所は、気象庁気象研究所、カナダ・ヨーク大学との共同研究により、民間航空機を利用した観測で上空の二酸化炭素濃度の短周期変動を解明したと発表した。これは、民間航空機で上空の二酸化炭素濃度を連続して観測する世界初のプロジェクト「CONTRAIL」で得られた上空の高頻度CO2濃度観測値を解析したもの。今回、複数年(2005年~2009年)にわたる成田上空(地表付近から高度約10kmまで)のCO2濃度の観測値を用いた結果、大気中のCO2濃度は上空でも総観規模の変動をしているということを初めて明確にした。また、上空におけるCO2濃度の総観規模の変動は、高度や季節によって、日本や東アジアに由来する地上からのCO2放出やCO2吸収の影響を強く受けていることがわかった。この結果は、CO2の放出・吸収源の分布や放出量・吸収量を見積もる際、大気中CO2濃度の総観規模の変動が一つの指標として役に立つことを示しているという。