(独)産業技術総合研究所は、CIGS太陽電池の一種で、インジウムを含まないCuGaSe2薄膜太陽電池のヘテロp-n接合の形成メカニズムを解明したと発表した。CIGS太陽電池は、高い変換効率、高い耐劣化特性、軽量でフレキシブル化が可能といった特徴を持ち、低コスト化も期待できるが、禁制帯幅が1.1~1.2eVと比較的狭く、理論通りの高い効率が得られない問題があった。一方、インジウムを含まないCuGaSe2太陽電池は、広禁制帯幅CIGS太陽電池としてその重要性が認識されており、10%以上の変換効率を得ることに成功している。今回、この電池を用いて、p-n接合の形成メカニズムについて研究を行ったところ、銅(Cu)が極端に欠乏したCuGaSe2の異相層はn型層として働き、p型CuGaSe2層とp-n接合を形成して太陽電池として動作することがわかった。この発見により、現在製造されているCIGS太陽電池より広禁制帯幅を持つ新しい太陽電池デバイス構造が提案でき、エネルギー変換効率の向上といった高性能化に向けた研究開発の加速が期待されるという。