京都大学は、化学研究所の山田泰裕特定准教授らの研究グループが、ハライド系有機-無機ハイブリッド型ペロブスカイト半導体中の電子の振る舞いを解明したと発表した。ペロブスカイト半導体を使った太陽電池は、2012年以降、その変換効率が驚異的な速さで改善が進み、実用化への期待も大いに高まっているが、一方で、高い変換効率をもたらす鍵となる基礎的な物性の理解はほとんど得られていなかった。今回、研究グループでは、発光や光吸収の時間変化を追跡することで、ペロブスカイト半導体の薄膜中で光によって生成した電子の状態を明らかにすることに成功。その結果、これまでは有機太陽電池材料のように電子と正孔が励起子と呼ばれる束縛状態を形成すると考えられていたが、実際には電子と正孔はそれぞれ自由に運動していることを初めて突き止めた。今回の成果は、ペロブスカイト半導体を用いた効率的な太陽電池をデザインするために必要不可欠な知見となるもので、今後も、変換効率の向上においてカギとなる性質を明らかにし、ペロブスカイト太陽電池の発展に貢献する成果を挙げていくとしている。