(独)国立環境研究所は、過去50年間にわたる全国湖沼の漁業資源量の変化を解明したと発表した。漁業資源を持続的に利用するためには、資源量の状態や傾向を正確に把握し、それに影響を及ぼす要因を特定することが重要である。しかし、これまで資源量の評価に関する研究の多くが海面漁業に注目したもので、湖沼等の内水面の資源量を定量的に把握した研究はほとんど無かった。今回、農林水産省の「漁業・養殖業生産統計(毎年実施)」と「漁業センサス(5年毎に実施)」の2つの統計に着目。これらの統計データに含まれる欠損値を補完することが可能な状態空間モデルと呼ばれる統計手法を用いて、全国23湖沼における相対資源量の長期的な変化を明らかにした。その結果、近年多くの湖沼で資源量が減少していること、また、資源量の減少や不安定化を引き起こす人為的な要因のうち、魚食性外来魚の侵入の影響が大きいことが示された。今回の研究は、湖沼の資源量の現状と傾向を定量的に明らかにした初めての研究で、今後の資源管理や湖沼生態系管理に活用されることが期待されるという。