京都大学は、ペロブスカイト太陽電池の不安定性を改善し、理論限界への設計指針を発見したと発表した。ペロブスカイト太陽電池は、材料溶液を印刷することで容易に作製できるため、生産コストの大幅な低減ができる太陽電池として期待されている。しかし、測定条件によって電流-電圧曲線が変わるため、発電特性と素子構造の関係を定量的に研究することができなかった。今回研究グループでは、エネルギー変換効率19%以上で、発電特性が変化しにくいペロブスカイト太陽電池の作製に成功した。さらに、この素子を用いて解析したところ、電流は変換ロスがほとんど無い一方で、電圧は電流の担い手である電荷キャリアを捕捉するサイト(トラップ)を介した電圧ロスが存在することが分かった。このことから、トラップの密度を単結晶ペロブスカイト程度にまで減らすことができれば、開放電圧を理論限界近くにまで向上できることが明らかになった。得られた設計指針を基に、エネルギー変換効率がシリコン太陽電池に迫るペロブスカイト太陽電池の実現が期待できるという。