東北大学などの研究グループは、低レベルの鉛曝露と知能指数(IQ)や語彙検査の結果との関係についての研究成果を発表した。同大学は、平成14年から出生コホート調査を実施し、胎児期における化学物質の曝露が出生児の成長や発達にどのような影響があるかを追跡して調査している。今回、出生コホート調査の286人のデータを活用し、出産時に採取した臍帯(さいたい)血および12歳時の血液の鉛濃度が、IQや語彙検査の結果に及ぼす影響を調査した。12歳児の血中の鉛濃度で対象児を4群に分け、IQや語彙検査得点の差異を調べた結果、男児において、血中の鉛濃度が高くなるほど、IQや語彙検査得点は低くなることが示された。臍帯血中の鉛濃度についても、男児の語彙検査得点への影響が示された。これらの影響は女児には見られなかった。加えて、IQや語彙検査の結果には遺伝や子どもの育つ環境が影響することがわかった。この研究は、日本人を対象として、鉛の血中レベルが低い場合でも影響が観察されることを明らかにした初めてのものであるという。