東北⼤学⼤学院医学系研究科発達環境医学分野の大学院生金森啓太医師、大田千晴教授らの研究チームは、2・4歳児の「収縮期血圧」に影響を与える環境要因を特定した。子どもの血圧測定は、安静を保つことが困難であるといった理由から、一般診療では省略されることが多い。しかし、健診や体調不良に伴う診察において、個別に血圧測定がなされ、高血圧症が見出されることがある。小児期の高血圧症は、自覚症状が現れないまま長年経過すると、合併症や成人後の高血圧症に移行することがある。同大学は、環境省の大規模な出生コホート調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の宮城ユニットセンターとして活動している。エコチル調査では、全体調査(参加者;約10万人)とともに一部の参加者を対象とする詳細調査(約5,000人)、ユニットセンターの独自調査(追加調査)が行われている。全体調査では親子の血液に含まれている化学物質や生活環境等を調査しており、詳細調査では家庭訪問や小児科医の診察などを通じて、より詳細な情報が収集・蓄積されている。本研究では、エコチル調査の詳細調査で取得されたデータを活用した。その結果、2歳児では“男児かつ親が現在喫煙していること”、4歳児では“母の妊娠高血圧の既往、親が現在喫煙していること、母または父が高卒以下であること”が収縮期血圧の高さに関連していることが示唆された。また、“両親が喫煙”および“いずれかが喫煙”のグループでは、2・4歳時の収縮期血圧が有意に高値となることが明らかになった(“両親喫煙なし”グループとの比較)。さらに収縮期血圧が高値となるグループは子どもの肥満率が有意に高いという知見も得られた。論文では,将来の高血圧を予防するために、子どもの受動喫煙の回避を徹底し、肥満等への留意も必要、と結んでいる(DOI:10.1038/s41390-023-02796-8)。
情報源 |
東北大学 プレスリリース
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機関 | 東北大学 |
分野 |
健康・化学物質 |
キーワード | 化学物質 | 環境省 | 生活環境 | エコチル調査 | 環境要因 | 出生コホート | 受動喫煙 | 収縮期血圧 | リスク要因 | 肥満 |
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