近畿大学、(一財)自然環境研究センターおよび信州大学は、京都府丹後地方の一つの河川だけに生息する絶滅危惧種「タンゴスジシマドジョウ」の遺伝的特徴を明らかにした。同種は、2010年に同大学が発見した新種で、環境省やIUCNのレッドリストにおいて最も絶滅リスクが高い「絶滅危惧IA類」として掲載されている。既往の研究で、同種は4倍体種(染色体数が基本数nの4倍)とされ、また、複数の種の形態学的特徴を合わせもつことから、雑種起源と推定されていた。今回、ミトコンドリアDNAおよび核DNAの解析を行い、同種と交雑が示唆されていたオオシマドジョウのDNA塩基配列には明瞭な違いがあることや、中間的な形質を持つことから雑種と考えられていた個体も、タンゴスジシマドジョウであることが分かった。同種は雑種を起源とするが、現在は独立した種として存在していることが分かり、4倍体種であることから形質変異の幅が広いと考えられるという。