近畿大学らの研究グループは、琵琶湖に生息するホンモロコの産卵環境を解明した。ホンモロコは全長14cm程度まで成長するコイ科の湖沼淡水魚である。茨城県の牛久沼や東京都の奥多摩湖、山梨県の山中湖、長野県の諏訪湖などでも確認されているが、元々は琵琶湖に自然分布していた。かつての琵琶湖では内水面漁業の重要な対象魚種であったが、現在は環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い)に分類されている。ホンモロコの個体数が激減した原因はいくつか挙げられているが、産卵場所の減少などが主因と見られている。──研究グループは、産卵盛期である5月に琵琶湖沿岸の大津市と守山市に344カ所の調査区画を設定し、ホンモロコの産卵場所の選択性を検証した。その結果、ヤナギの根が繁茂した水深が浅く波当たりの良い場所を選んで産卵することが分かった。また、流れが遅い場所では泥が付着しやすく卵のふ化率が低下するが、流れが速く波当たりの良い場所では酸素が豊富に供給され、ふ化率が高いことから、このような選択性が生じたと考えられた。さらに、梅雨時に行う水位を下げる操作がホンモロコの産卵環境に悪影響を及ぼす可能性があることも示された。総じて、産卵期である「4月から6月にかけて産卵に配慮した水位操作」を行うことが、琵琶湖におけるホンモロコ資源回復に有効であると提言している。
情報源 |
近畿大学 NEWS/PR
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機関 | 近畿大学 滋賀県 京都大学フィールド科学教育研究センター |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 絶滅危惧種 | 近畿大学 | 琵琶湖 | ホンモロコ | 産卵環境 | 資源回復 | 水位操作 | ヤナギの根 | 内水面漁業 | 日本水産学会 |
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