海洋研究開発機構(JAMSTEC)と北海道大学の研究チームは、北海道・東北沖に広がる海域(以下「親潮域」)において、海洋熱波(適用:数日から数年にわたり急激に海水温が上昇する現象)が頻発していたことを明らかにした。同研究チームは、日本近海における漁獲の好不調と海面水温上昇は密接な関係にあるととらえ、十年スケールで緩やかに進む水温上昇とともに、世界全体で数多く報告されている「海洋熱波」に着目した。人工衛星データを用いて親潮域における海面温度を詳細分析した結果、2010年から2016年までの間、親潮域全体で平均海面温度の上昇がみとめられ、とりわけ北海道南東部沖では毎夏(7~9月)、統計上10%以下しか起こらない高水温である「海洋熱波」が発生していたことが分かった。一方、海流予測モデルを用いて分析したところ、水温上昇温度は海面下にも広がり、同時に塩分濃度の上昇も見られたことから、黒潮の影響を受けていたことが示唆された。2015・2016年は冬にも影響が続いた。黒潮から親潮域に達した「暖水渦」が親潮の南下を妨げ、温帯魚の好調・寒流魚の不調につながったという。