北海道大学は、沖縄県南大東島に生息するフクロウ科の一種「リュウキュウコノハズク」が減少傾向にあることを発見した。日本の自然環境では肉食の野鳥が生態系ピラミッドの頂点に立っており、フクロウなどの猛禽類は多様な食物連鎖からなる生態系のものさしと見られている。フクロウは夜行性で目視は困難であるが、大陸の温帯域や寒帯域に生息する種の研究は進んでいる。しかし、アクセスが悪いといった理由から、熱帯島嶼域に生息している固有種にかかる情報は極めて少ないものとなっていた。同大学は、Integrated population model(IPM)という統計手法を最適化することで、リュウキュウコノハズクの保全に向けた個体群動態の解明に取り組んだ。2012~2018年にかけて実施した足環標識によるモニタリングデータを用いて、集団の性比を仮定せずにIPMを適用した結果、同種のメスはオスよりも少ないことや、人為的に移入されたネコやイタチなどの哺乳類がメスを捕食し、メスの生存率低下、集団の減少につながっていることが明らかになり、保全対策の早期実施が求められるという。