京都大学、日本大学、名古屋大学、北海道大学の研究者からなる共同研究グループは、愛媛県大洲市で発見されたオオサンショウウオの化石から古代DNAを抽出し、日本固有種であるAndrias japonicus(ニホンオオサンショウウオ)と完全に一致するミトコンドリアDNA配列を確認した。さらに、放射性炭素年代測定により、化石は約4,100~3,500年前のものであることが明らかとなった。
オオサンショウウオ属(Andrias)は、現存する最大の両生類であり、日本、中国、ヨーロッパに分布・化石記録があるが、アジアにおける化石記録は極めて少ない。本研究では、1958年頃に発見された敷水層の化石を対象に、形態学的比較と古代DNA分析を組み合わせた統合的手法を採用。分子系統解析の結果、化石は西日本に分布するA. japonicusの個体群に属することが判明した。
現在の四国にはA. japonicusの小規模な個体群が確認されているが、遺伝的特徴から人為移入の可能性が指摘されており、今回の化石発見地点とは大きく離れている。これにより、四国西部にはかつて野生のA. japonicusが生息していたが、近年になって絶滅したことが示唆された。絶滅の要因は不明だが、同時代の広島県の洞窟遺跡からもオオサンショウウオの骨が発見されており、当時の人類による捕食の可能性も考えられる。
本研究は、両生類を対象とした古代DNA研究としては極めて稀な事例であり、分類学・進化学・保全生物学の分野において重要な知見を提供している(掲載誌:Scientific Reports)。
情報源 |
京都大学 最新の研究成果を知る
北海道大学 TOPICS |
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機関 | 京都大学 ⽇本⼤学⽣物資源科学部 名古屋大学 北海道⼤学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 環境変動 | 系統解析 | 絶滅種 | 人為移入 | 地域個体群 | 放射性炭素年代測定 | 古代DNA分析 | 両生類保全 | 自然史研究 |
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