アマミノクロウサギに関する新たな研究が、成長遅延と食性の謎を解明した。──岡山理科大学 生物地球学部 恐竜学科の林教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科の久保准教授らの研究チームは、恐竜研究で確立された骨組織学的分析の手法を用いて、博物館に保存されているアマミノクロウサギの四肢骨を分析した。その結果、日本本土や大陸に生息する近縁種が一般的に約1年以内に成熟するのに対して、アマミノクロウサギは約5年近くかけて成熟することが明らかになった。こうした極端な成長遅延は、地中海や琉球列島など島に生息していた絶滅した哺乳類化石種でのみ知られており、現生種としては世界初の発見である(掲載誌:Mammal Study)。──久保准教授と林准教授らは、同誌で別の論文を公表している。アマミノクロウサギとケナガネズミの歯を分析し、両種の食性を比較検証したものである。当該論文によると、アマミノクロウサギが年間を通じ似たような固さの植物を食べているのに対し、ケナガネズミは季節に応じて餌のタイプが異なり、両種が1年を通じどのような餌を食べているかを解明している。──これらの成果は、琉球列島特有の動物たちが持つ特殊な進化的特徴の理解を深めるとともに、両種の保全を考える上で多様な植生環境と生態系が重要であることが示すものとなっている。
情報源 |
東京大学大学院新領域創成科学研究科 記者発表【①】
岡山理科大学生物地球学部恐竜学科 プレスリリース 【①】 東京大学大学院新領域創成科学研究科 記者発表【②】 岡山理科大学生物地球学部恐竜学科 プレスリリース |
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機関 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科 岡山理科大学生物地球学部恐竜学科 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 固有種 | 保全 | 進化 | アマミノクロウサギ | 食性 | 琉球列島 | ケナガネズミ | 成長遅延 | 骨組織学 | ミクロウェア |
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