神奈川県水産技術センターは、「磯焼け」の発生で失われた藻場を再生するため、海藻「カジメ」を増やす研究に取り組み、通常のカジメより早く成熟し次世代を残すことで藻場再生の効果が高いと期待される「早熟カジメ」の育成に成功した。我が国の藻場は、アイゴなど魚類やウニの食害、海水温の上昇などが原因とされる「磯焼け」の発生で急激に減少しており、同県沿岸でも地域によっては藻場が消滅する危機的な状況となっていた。「カジメ」は成長すると1mを超える大型の海藻であるが、成熟して次世代を残すまでに1年半かかるため、食害がはげしい海域では成熟前に食べられてしまうことが課題であった。同センターでは、平成27年度に相模湾で行った「磯焼け」実態調査の際に、わずか半年で成熟する「早熟カジメ」を発見した。「早熟カジメ」は食害などにあう前に次世代を残すことが期待できるため、人工的に大量培養する技術の開発と、藻場を再生する研究に取り組んだ。令和元年度から相模湾各地の「早熟カジメ」を集め、その配偶体の培養を開始し、今回、半年程度で成熟する「早熟カジメ」の生産に成功したと発表した。今後、種苗を大量に生産するため、更なる技術開発を進めるという。