国内ニュース


 京大など、「森は海の恋人」を科学的に証明

発表日:2021.10.26


  京都大学を中心とする研究グループは、流域の森林被覆と河口域の生物多様性が有意な正の関係にあることを実証した。同大学・フィールド科学教育研究センターは20年以上にわたり、森から海までの生態系のつながりに着目した教育研究(森里海連環学)に取り組んでいる。今回、2005年から教育・研究助成を受けている(公財)日本財団との共同プロジェクトの一環として、漁獲量の長期的な低迷や磯焼け現象等に苛まれている沿岸生態系を再生し、ひいては地域振興につなげることを目的とする調査を企画・実施した。先ず、全国の一級河川のなかから22本を機械的に選定し、環境DNAメタバーコーディング法を用いて「河口域」の網羅的な生物分布調査を行うとともに、ありとあらゆる流域環境データを収集した。次いで、それらのデータを冗長性分析(RDA: Redundancy Analysis)することで、レッドリスト掲載魚種の種数と環境要因の関係を解析した。その結果、絶滅危惧種が多い河口域では森林被覆(森林率)が有意に関係しており、絶滅危惧種が少ない河川では水田以外の農地率が影響していることが分かった。さらに「一般化線形モデル」を適用した分析により、全ての環境要因のうち「森林率のみ」がレッドリスト種の多寡を説明できることが明らかになった。森林保護の効果を評価する上で重要な知見であり、森里海連環学の深化に向けた今後の課題や新たなアプローチ手法が示唆されたという。

情報源 京都大学 Latest research news
国立環境研究所 報道発表
北海道大学 TOPICS
機関 京都大学フィールド科学教育研究センター 国立環境研究所 北海道大学
分野 自然環境
キーワード 一級河川 | 絶滅危惧種 | 森林被覆 | 河口域 | 一般化線形モデル | フィールド科学教育研究センター | 森里海連環学 | 環境DNAメタバーコーディング | 流域環境 | 冗長性分析
関連ニュース

関連する環境技術